「創造する日本学」の研究成果から知の循環を生み出す。
東北大学は2015年7月から、「持続可能でココロ豊かな社会」の創造に向け、社会の深刻な課題の解決に取り組む研究拠点として、「社会にインパクトある研究」の取り組みを進めています。この取り組みでは、東北大学が解決に貢献すべき7つのグループテーマを掲げています。その一つ「世界から敬愛される国づくり」の中に、私がリーダーを務めるプロジェクト「創造する日本学」があります。
「創造する日本学」では、対立や紛争の激化、他者を排除する思想の広がり、自然環境の破壊など、地球規模で起こっている問題の多くが、基本的には価値観の衝突から生じていると捉えています。こうした問題の解決には、新たな価値の創造が必要となります。新たな価値を日本の文化的な土壌から創造し、発信していくこと、それが「創造する日本学」の目標です。
「創造する日本学」というプロジェクト名には、“世界が共感する「日本文化」の創造的価値の探究”という副題がついています。ここで最も重要なのが「世界が共感する」という部分です。日本から発信する新たな価値を、「それはいいことだ」と世界の人々に共感していただき、それによって世界の人々の心を豊かにする、そんな壮大な発想がこのプロジェクトの根底にはあります。
大学にとって「研究」と「教育」はいわば車の両輪です。「創造する日本学」の中で先端的な研究を進め、その成果を教育の場に還元していく、その受け皿となるのが新たに発足する「日本学国際共同大学院」と言うことができるでしょう。従来からある日本学ではなく、「創造する日本学」による新たな創造的価値を「日本学国際共同大学院」に持ち込む。そうすることで両者の間に知の循環を生み出していく、それもまた私たちの目標です。